2009.6.9 09:47
【北京=矢板明夫】北朝鮮の裁判所が米国の女性記者2人に12年の労働教化刑を言い渡したというニュースが、中国国内で波紋を広げている。中国系米国人が含まれているためで、「判決は中国への嫌がらせ」「力ずくでも救出すべきだ」といった書き込みがインターネットのサイトに寄せられている。
大手ポータルサイト、新浪では、このニュースがアップされたあと、半日で約5000件の書き込みが殺到した。北朝鮮を支持する意見も一部にあるものの、「判決は重すぎ、理不尽」と、北朝鮮の措置に反発するものが多かった。
中国系のローラ・リン記者に対する関心は特に高く、その生い立ちや米国で暮らす両親など家族の状況を詳しく紹介する文章も見られた。「米国籍とはいえ私たちの同胞だ。何もしなければ中国が世界中に笑われる」と中国政府に北朝鮮との交渉を促す意見もあり、北朝鮮を「狂気の国家」と批判し、「次に朝鮮戦争が起こったとき、中国は義勇軍を送って米軍と一緒に戦う」といった過激な意見も寄せられた。
建前上、北朝鮮は中国にとって友好国であり、ネット上に書き込まれた北朝鮮への批判は、中国当局によってすぐに削除されることがほとんどだが、今回はそのまま放置されているようだ。中国政府がこれにより、核実験などを強行する北朝鮮の最近の“暴走”に対し、不快感を表している可能性もある。